監督 楠本 繁生

楠本繫生
所属チーム
大阪体育大学

インカレ9連覇の名将

ハンドボール女子日本代表(おりひめジャパン)は、2008年の黄慶泳監督(現・三重バイオレットアイリス監督)の就任以降、世界で戦えるレベルになってきました。その後も栗山雅倫監督(東海大監督)、デンマークから来たウルリック・キルケリー監督が代表チームを強化し、東京五輪後の2021年10月から楠本繁生監督体制になりました。楠本監督は洛北高、大阪体育大を何度も日本一に導いた名将で、大阪体育大と代表の監督を兼任しています。昨年にはインカレ9連覇を達成しました。

判断力を鍛え、組織力を練り上げるために、一切の妥協を許しません。歯を磨くように2対2(バスケットボールで言うピック&ロールのような、ピヴォットを絡めた駆け引き)を日々積み重ね、常に選択肢を持ったなかでのプレーを落とし込んでいきます。

時間をかけてチームを作り上げる指導スタイルのため、即席チームを短期間でまとめる代表監督はどうなのかと見る向きもありましたが、大阪体育大の教え子を中心にうまく戦っています。オールスターのようなワクワク感はないものの、しっかりとした意思統一のもと、地に足のついた戦いを続けています。

「スペシャルなしでも格上に勝てる」信念

誤解しないでほしいのですが、楠本監督は教え子とハンドボールをやりたいのではありません。U24の世界学生選手権で監督を務めた時から、楠本監督は東京女子体育大出身の初見を重用していました。初見は人と合わせるのがとても上手で、行く先々で高いハンドボールIQを評価されている選手。楠本監督はクレバーな選手を好み、判断力のある選手を集めて勝とうとしているのです。間違いのない判断力と最高の組織力があれば、スペシャルな選手がいなくても格上の相手に勝てる――。洛北高、大阪体育大で培った信念は、代表監督になっても揺るぎません。

(スポーツ特化型メディア”Pen&Sports“[ペンスポ]コラムニスト・久保弘毅